加湿の工夫や調湿建材で「過乾燥」対策を

日本の冬の悩みといえば、結露(「結露と湿度の関係を知り、冬の悩みを解消するには」2022年9月30日掲載)だけでなく、「乾燥」も大きな問題だ。
乾燥による目・喉・肌などのトラブルに悩む人は多く、インフルエンザの予防でも乾燥対策が呼びかけられている。
適度な加湿が大事だが、注意すべきことは多い。
そうした中で、乾燥を軽減できる調湿建材が注目されている。

 

■室温アップが乾燥を増幅

冬の寒さが厳しい東北地方。
宮城県仙台市では、5~10月の相対湿度(月ごとの平年値)は70%台で推移しているが、冬の訪れとともに乾燥が強まる。
11月以降は60%台となり、3月には1年間で最も低い61%にまで下がる。

しかし、東京の冬の相対湿度(同)は50%台で推移しており、気象庁は「乾燥した空気」という表現を「湿度が低い空気で、目安として湿度がおよそ50%未満の状態」と説明している。
湿度60%台は、それほどひどい乾燥とは言えないようだ。
ところが、室内を暖めることで湿度はグンと下がる。
例えば外気温が2℃、湿度60%の場合、これを室内温度20℃になるように暖めると湿度は20%まで低下する。

 

■体感温度の低さがさらなる乾燥を呼ぶ

室温を考えるとき重要なのは「表面温度」「体感温度(作用温度ともいう)」だ。

 

表面温度とは室内の壁や床、窓などの温度のことで、断熱性能が低い住宅では外気の影響を受けて低くなる。
体感温度は文字通りの意味で、「(室内温度+表面温度※)÷2」で算出できる。

※厳密には表面温度(放射温度)の平均値である平均放射温度

 

理想的なのは「室温=表面温度」の状態。
表面温度を高く保つには断熱が肝心だが、断熱性能が低いと表面温度の低さから暖かさが体感できず、がんばって室温を上げることになる。
室温を上げれば上げるほど相対湿度は下がり、肌や粘膜が乾燥する悪循環に陥ってしまう。

 

高断熱の住宅でも、水分の出ない暖房器具であるエアコンの使用はやはり乾燥を助長する。

 

■加湿を工夫し、日常生活で出る水分を活用

乾燥によるトラブルを防ぎ、インフルエンザなどの感染リスクを低減するには、適度な湿度の保持が大切になる。
厚生労働省はインフルエンザ予防にとって、「室内を適切な湿度(50~60%)に保つことも効果的」としている。

 

加湿には日常生活で発生する水分が活用できる。
4人家族を想定した場合、室内干しで約3ℓ、入浴で約2ℓの水分が発生する。
浴槽のお湯を一晩ためておけば約3ℓの水分が発生するため、浴槽のふたと浴室の扉を開け放つ方法もある。

 

それでも乾燥する場合は加湿器だ。
ハイブリッド式や気化式などのタイプがあるが、衛生面や消費電力、暖房器具との併用の仕方など考慮すべき点があることに留意したい。

 

ただし、加湿の際は住宅内の温度をできるだけ均一に保つように注意したい。
湿気は寒い場所に移動するため、カビやダニの発生を誘発し、アレルギー疾患のリスクを高めてしまう。

 

最近では加湿機能のあるエアコンも登場しているが、空気中の水分を使うため、そもそも乾燥している冬場において十分な加湿効果はあまり期待できない。

 

 

■注目される調湿建材

より効果的に湿度をコントロールする上で注目されているのが、調湿効果のある自然素材や建材だ。
床や壁、天井などの内装の仕上げ材に水分を吸放湿できる材料を使うことで、乾燥を軽減することができる。

 

自然素材では、無垢のフロアや板張りの天井、漆喰や珪藻土などを使えば調湿効果が期待できる。無垢材の場合は、細胞壁の中の繊維に水分子がくっついたり離れたりするため、季節を問わず爽やかな肌触りが維持でき、素足で快適に過ごすことができる。

 

さらに効果が高いのが調湿建材で、性能試験でJIS規格の基準に達した天井材や塗り壁材などを指す。

 

北洲では、調湿建材の基準をクリアした塗り壁や天井を提案している。
比較的面積の大きい壁で調湿することにより、大きな効果が期待できる。

 

■高断熱・調湿建材の活用・加湿の工夫で健康的な冬を

最適な湿度を求めてさまざまな工夫がなされているが、最も効果的なのは住宅の断熱性能を高め、内装の仕上げ材に水分を吸放湿できる調湿建材を使い、加湿を工夫すること。

 

乾燥を軽減することは、健康的に冬を楽しむ第一歩になる。

 

 

結露と湿度の関係を知り、冬の悩みを解消するには

冬になると私たちを悩ませる結露。
換気などの対策が毎年呼びかけられるが、改善は容易ではない。
結露と湿度の関係やメカニズムを知り、根本的な対策を講じることが重要だ。

 

■結露はどうしてできる?

空気中には水蒸気の状態で必ず水分が含まれている。
どのぐらいの量の水蒸気を空気中に含むことができるかは、空気の温度によって変化する。
暖かい空気ほど水蒸気を多く含むことができるが、冷えていくに従って含み得る水蒸気の量は減っていく。

水蒸気が飽和状態になる温度を露点温度と言い、さらに空気の温度が下がり水蒸気が最大量(飽和水蒸気量)を超えると、空気はすべての水分を水蒸気の状態で保持することができなくなり霧や水滴が発生する。

これが結露だ。

 

 

■低断熱・低気密住宅ほど結露に悩まされやすい

家の中の温度差が大きく、窓際や壁際など空気が冷やされた場所がある低断熱・低気密住宅ほど結露が発生しやすい。
暖房によって温められた空気が、窓表面や壁表面で急激に冷やされて結露が生じるためだ。
さらに表面だけでなく、壁の中に侵入する空気も露点温度に達すると結露の原因となる。

■健康リスクを高める要因に

湿度に関連したさまざまな健康への影響を最小限に抑えるため、住まいの湿度の適正範囲は40~60%と言われており、建築物衛生法でも40~70%とされている。

湿度が40%を下回ると乾燥状態となり、インフルエンザなどのウイルス感染リスクが高まるほか、目や肌の乾燥などの問題が生じる。

一方、湿度が上がり過ぎると、カビやダニが発生しやすくなり、アレルギー疾患のリスクが高まる。

※高湿度状態の健康への影響については、「健康的な暮らしをおびやかす“ダンプネス”」(2021年5月28日掲載)も参照。

 

それだけではない。

窓ガラスや窓枠、窓際の床が水滴で濡れ、木のフローリングにカビが生えたり腐ったりするなど、木材や仕上材の汚損や腐朽、断熱材の性能低下により、建物の寿命を縮めることにつながってしまう。

 

■暖房器具によっては結露が発生しやすくなることも

暖房器具を使って室内の温度を高めさえすれば結露を防げるのだろうか。
残念ながら、暖房器具の種類によってはむしろ結露が生じやすくなる。

 

石油ストーブや石油ファンヒーターなど、室内の空気を使って燃焼する暖房器具は水分が発生する。灯油1リットルが燃焼すると、1.1リットルの水分が出るとされている。

エアコンや電気ストーブなど水分が出ない暖房器具でも、家の中に温度差が存在する限り結露の発生をなくすことはできない。

洗濯物の室内干しや調理など、日常生活のさまざまな場面で水蒸気が発生しており、暖房の選択によっては結露の発生を助長してしまうことになる。

 

■こまめな換気や除湿には限界も

結露対策として、こまめな窓の開放や換気扇の活用による換気で、水蒸気を屋外に排出する方法が呼びかけられている。
また、湿気は暖かい場所から寒い場所に移動するため、湿気がたまりやすい水回りや収納の空気を入れ替えたり、除湿機や乾燥剤を活用したりする方法もある。

しかし、これらは手間がかかる割に根本的な対策にはなり得ない。

 

■最も有効な解決策は「温度差をなくすこと」

結露の解決に最も有効な対策は、住宅内の「温度差をなくすこと」。
断熱・気密の性能を高めて、外の寒さの影響を受けにくく、家の中に冷たい場所がないようにすることが重要になる。

断熱性能を高めれば、室温を低く設定しても十分な暖かさを手に入れることができ、結露が発生しにくい上に、乾燥対策の面でも緩和が期待できる。

■注目すべき窓まわりの断熱性能改善

住宅の断熱性能を高める上で、まず着手すべきは熱の出入りが大きい開口部、特に熱を通しやすい窓の改善だ。
窓などの開口部からの熱損失は、冬の暖房時の熱の約6割に及ぶとされる。

内窓の設置やサッシの交換で断熱性能を高めるだけでも、大幅な改善が見込める。

実際、築30年の仙台市のあるマンションでは、リフォームで内窓を設置したことにより、冬には一桁にまで下がっていた窓まわりの表面温度が20℃にまで改善された。

 

■しっかりした対策で健康リスク回避を

断熱性能を高めて温度差のない住宅環境を作り出すことが、私たちを結露の悩みから解放してくれる。
さまざまな健康リスクから身を守るためにも、しっかりとした対策が求められる。

 

 

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