年末年始は高齢者の方にとっても普段とは違った行動を取ることが多い時期。
家族の帰省や会食などが増える楽しい時期でもあるが、家庭内の事故についても増える傾向があるという。
 
消費者庁は毎年12月に「高齢者の事故防止に関する注意喚起」を行っている。
毎年繰り返し注意喚起されている事項は、基本的には大きく3つ。
窒息溺水転倒の3つである。

 

餅による窒息が原因の死亡事故。その4割は1月に。

餅がのどに詰まって窒息してしまう。
そんな痛ましいニュースを見聞きすることが多いのはやはり年始の時期ではないだろうか。
実際に消費者庁が公表している資料を見ると、はっきりとその実態がわかる。

 
[65歳以上の、餅の窒息事故による月別死亡者数]

平成30年と令和元年で合計661人の高齢者が餅による窒息で亡くなられているが、1月の発生がその4割以上を占めている。
そして、その1月の中でも正月三が日の事故が127件と、全体の約20%に上っているのだ。

 
事故を防ぐためのポイントとしては5つ。
1.餅は小さく切って食べやすい大きさにすること
2.お茶や汁物などを飲んで、喉を潤してから食べること
3.一口の量は無理なく食べられる量にすること
4.ゆっくりとよく噛んでから飲み込むこと
5.高齢者が餅を食べる際は、周りの人も食事の様子に注意を払うこと

 
自身でもこれらのことに気をつけながら、周りの高齢者に対しては特に注意を払っていくことが重要だ。
帰省した際などにも、改めてこれらの注意事項を頭の片隅にしっかりと置いておきたい。

 

入浴中の溺水。自宅の浴槽内での死者数は交通事故の約2倍。

室温等の住宅環境が大きく影響している「入浴中の溺水」というテーマに関しては、これまで何度か取り上げているが、消費者庁としても繰り返し注意喚起を行っている。
下記のグラフは厚生労働省の「人口動態調査」からのデータである。

 
[高齢者の不慮の溺死及び溺水による死亡者数の年次推移]

 

高齢者の「不慮の溺死及び溺水」の死亡者数全体と同様、「浴槽における溺水による死亡者数」は平成29年以降減少傾向にあるが、未だに高い水準で推移している。
令和2年の「家及び居住施設の浴槽における死亡者数」は4724人もおり、「交通事故」による死亡者数2199人と比べても2倍以上の数になっている。
 
特に冬場に多く見られることから、年末年始の時期も注意が必要だ。

 
消費者に対するアドバイスとして具体的に消費者庁が発信しているのは下記の6つ。
1.入浴前に脱衣所や浴室を暖めておくこと
2.湯温は41度以下、湯につかる時間は10分までを目安にする
3.浴槽から急に立ち上がらないようにする
4.食後すぐの入浴や、飲酒後、医薬品服用後の入浴は避ける
5.入浴する前に同居者に一言掛けて意識してもらう
6.湯温や部屋間の温度差、入浴時間など温度計やタイマーを活用して見える化を行う

 
こうしたことも改めて意識をし、同居の高齢者がいる場合は頻繁に声掛けをするなど、目配りを怠らないようにしたい。

 

高齢者の掃除中の事故は12月がダントツで多い。

3つ目の注意喚起事項は「掃除中の転落等の事故」だ。
下記、東京消防庁の「救急搬送人数」のデータを見ると、やはり大掃除を行うことが多い12月に、最も多くの人が「掃除中の事故」で救急搬送されていることが一目瞭然だ。

 
[高齢者の掃除中の事故、月別救急搬送人員(東京消防庁管内)]

 
そして、その年代別の内訳を見ると、70歳代をトップに高齢者が非常に多いことがわかる。

 
[高齢者の掃除中の事故、年代別救急搬送人員(東京消防庁管内)]

 
高齢になっても元気に掃除に励む方は多いが、やはり加齢による身体機能と認知機能の低下で、バランスを取ることやとっさの対応が難しくなることは否めない。
慣れない脚立やはしごを用いた作業中に身体のバランスを崩したり、脚立等が倒れたりして転落すると、死亡事故につながったり、重症を負うおそれがある。
安定した場所で無理のない範囲で作業することがとても重要だが、できることならば、何よりも「一人で作業しないこと」、そして「脚立やはしごを使った高所作業は極力控えて他の人に任せること」が望ましい。

 
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どれも取り立てて真新しい注意事項ではないものの、データが示すとおり、こうした家庭内事故が年末年始に極端に多いことは間違いない。
それぞれがこの機会に改めて意識し直すことは大切なことだろう。
 
注意を重ねるのに越したことはない。
高齢の家族がいる人は、特に年末年始は目配りを怠らず、穏やかな年末年始を過ごせるように気をつけていきたい。

 
 
◆データ出典/消費者庁公表資料(2021年12月8日)
「高齢者の事故に注意し、年末年始を安全に過ごしましょう!-餅による窒息、入浴中の溺水、掃除中の転落等に注意」
「(別添)高齢者の事故に関するデータとアドバイス等」
※ 図表も上記資料より