秋も一段と深まり、冬の足音が聞こえてきた。
寒い時期が近づくにつれ、関節が痛んだり腰痛に悩まされる人も多いのではないだろうか。
今回は、そうした関節症や腰痛の症状と室温との関係を調査した分析結果を紹介したい。
※スマートウェルネス住宅等推進調査委員会・研究企画委員会の研究成果より

 

◆関節症と室温との関連

冒頭に触れた「関節の痛み」に関する「室温との関係」を調査した結果は下記のとおり。

居間の室温が18℃以上の群と比べると、18℃未満の群は関節症であるオッズはなんと2.7倍
居間が寒いと関節症である可能性が高い、ということが言える。

 

◆腰痛と室温との関連

では、「腰痛症」と「室温」との関連はどうだろう。

居間の室温が18℃以上の群と比較すると、18℃未満の群は腰痛症であるオッズは2.8倍
こちらも居間が寒いと腰痛症である可能性が高い、という調査結果が報告されている。

“寒いと関節が痛む” というような状況はイメージとしては理解できているが、これだけ明快に数値で示されると、一層納得感が増すのではないだろうか。
寒い空間で過ごすことが多い生活環境だと、「皮膚表層部の血流量が減少し、周辺の筋肉が硬直してしまうことが関連している」と、その原因を結論づけている。

 

◆高血圧と室温との関連

本サイトの記事で再三取り上げている「血圧」についてはどうだろうか。
分析結果を見てみよう。

少し表が読み解きにくいかもしれないが、
居間も脱衣所も18℃以上(つまり家全体が暖かい)の群と比べて、脱衣所が18℃未満の群は高血圧であるオッズが1.5倍
居間も脱衣所も18℃未満の群は高血圧であるオッズが1.6倍という結果だ。

これまでの多くの研究結果が実証しているが、寒い室内環境が高血圧の原因となっていることは疑う余地も無いだろう。
そしてまた、この分析結果が示しているとおり「居間だけが暖かくても、部屋間の温度差が大きい場合には高血圧のリスクが高まる」ということはしっかりと意識しておきたい。

 

◆糖尿病と室温との関連

これまであまり取り上げたことがなかった「糖尿病」と「室温」との関連についても、興味深い結果が出ている。

閾値*は14℃。居間と脱衣所の室温が14℃以上の群と比較して、居間が14℃以上かつ脱衣所が14℃未満の群は糖尿病であるオッズが1.6倍
居間と脱衣所の両方が14℃未満の群と比べて、脱衣所だけが14℃未満の群の方のオッズが高いことから、部屋間温度差が大きいと糖尿病である可能性が高い、という結論が導かれている。

*閾値(いきち・しきいち):数値的な境。境界線となる数値。

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今回紹介した研究結果は、“ベースライン分析”として「室温」と「傷病・症状」との関連性を明らかにしたものだが、研究者の間では既に、住まいの改修 “前後”における傷病・疾病の改善状況のデータ分析も進んでいる。
暖かな室内環境(かつ、部屋間温度差の無い空間)が各種疾病に対して少なからぬ影響力をもっていることは間違いない。

家族の健康は何ものにも代えがたい。
新築にせよ、リフォームにせよ、暖かな室内環境を実現することは、今後一層譲れない条件になってくるだろう。