近年、住宅業界では高断熱化が浸透し、次世代省エネ基準をクリアしている新築戸建住宅は全体の53%に及ぶ(国土交通省2015年度調査による)。ただし、次世代省エネ基準の適合については、断熱性を表すUA値や一次エネルギー消費量の基準によって判定されるため、それらはあくまで計算値である。

省エネ住宅の温熱環境の実態はどうなっているのか。果たして本当に快適なのか。住み手の健康維持増進につながっているのか。
住宅メーカーとしてその答えを知るべく、北洲では温熱環境調査を行なっている。

施主の方々の協力のもと、温熱環境測定と健康調査を行なっており、リビング、脱衣室、寝室の3ヶ所に温湿度計を設置いただき、1年分の温湿度データを収集している(※1)。
高断熱高気密住宅であっても、外気温の影響は受ける。また、ライフスタイルや冷暖房機器の使い方によって快適さは変わってくる。住まい手がどのような暮らしをし、温熱環境がどのように変化するのかを測定し、これからの家づくりや住みこなし方の提案に活かしていこうという取組みである。

※1 北洲ハウジングが設計施工した戸建て住宅に住む居住者に行なった健康調査。期間および人数:2019年3月1日~2020年2月29日67名、2020年4月1日~2021年3月31日50名。CASBEE『健康チェックリスト』と生活習慣等に関するアンケートの記入、年間を通して温湿度計の設置などを実施。

 

高断熱住宅は快適温度を維持 ~冷暖房の連続運転でさらに快適に~

結果を見て、ほっと胸をなでおろすことができた。断熱性能が高い当社の住宅は、1年を通して快適な温熱環境を実現できていることが調査から明らかになった。なかでも特筆すべきは、冷暖房設備に全館空調システムを採用した住まいである。

全館空調システムを採用することで、冷暖房設備の連続運転により、一年を通して、家中が快適な温度帯で安定して推移していたのである。

 

K様邸2月(冬期)の温度データ

 

上のグラフは、全館空調システムを採用しているK様邸(宮城県仙台市)の冬期2月の室温測定結果である。住宅性能はHEAT20 G1相当で、国の省エネ基準よりもさらに高い、民間の断熱基準をクリアしている。
仙台の2月は、外気温がマイナス5℃近くまで下がった日があるにもかかわらず、K様邸の室温はリビング・脱衣室、寝室ともに20~25℃の間で推移していた。建物自体の断熱性能はもちろんだが、全館空調システムによる暖房の連続運転が、室温を安定させ快適な環境をつくり出していると考えられる。

 

K様邸8月(夏期)の温度データ

 

夏期8月はどうだろうか。8月は外気温が35℃近くまで上がる日もあったが、K様邸はリビング、脱衣室、寝室いずれも25℃前後をキープしていた。

 

建築的手法と機械的手法の連動で叶えられる「省エネルギーかつ快適」な空間

高断熱住宅は魔法瓶のような構造で、外の熱を内側に伝えづらくするため、少ないエネルギーで室内を快適温度にすることが知られている。だが、建物の性能だけでは、冬の場合、暖房を切ってしまうと室温が下がるのを防ぐことは難しい。K様邸では、全館空調を常時オンにしていることで、とろ火のような状態で暖房の連続運転が行われ、一定温度をキープしていることがわかる。

まずは建物自体(=建築的手法)で快適性をつくることがなによりも重要である。そのうえで、冷暖房設備(=機械的手法)に少しだけ頼り、最適な運転を行なうことで、健康的な暮らしを送ることができる。

 

自宅の快適性を施主であるK様はどのように感じているのか?住み心地はどうなのか?
実際にインタビューした内容を次回の記事では紹介したい。